ずっと好きでいられますよう/由比良 倖
だ。
僕は「今ある世界は嘘かもしれないけど……」という括弧付きで世界を見ているけれど、多分僕が中原中也の詩に感動するのも、それでなのかなと思う。他の詩人は「私はこういうことに感動するけれど、あなたもそうでしょう?」という、人はそれぞれ同じようなもので、同じような世界に住んでいる、という前提というか、甘えのような感情を持っていると思う。
中也は世界なんて分かってない。分かるものじゃないと思っている。でも僕はこういうものに感動する、と書いて、それで終わりだ。共感を得られるかどうかは、もう投げ出しているというか、共感されるかどうかは賭けで、でも何かが伝わることを願っている。そういうあり方
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