ずっと好きでいられますよう/由比良 倖
風も気持ちいい」ということを言っていて、アスナが「あれは全部作りものだよ」と言うと、「でも、気持ちいいじゃないか」と言うシーンがたしかあったと思う。
そういう感じが僕はとても好きで、全部嘘でも、作りものでも、何でもありで書き換え可能でも、今美しいと感じている自分自身は、嘘じゃない。世界に何かが足りなくても、欠落感や、その何かを求める気持ちは嘘じゃないし、世界が空っぽでも、空っぽが綺麗ならそれでいい。
実感って「我思う、故に我あり」に近くて、でももっと「僕が思っている」ということを深く感じている自分がいて、それは「我思う」を客観視している自分の視点でありながら、多分もっと深い主観なんだ。
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