数式の庭。原型その1/田中宏輔
を変える。
わたしを沈め
わたしを浮かせる。
わたしを横にずらし
わたしを前に出し
わたしを後ろに退かせる。
しかし
もっともすばらしいのは
わたしを同時に
いくつもの場所に存在させることだ。
わたしは同時にいくつもの場所から
この数式の花を眺めることができるのだ。
すべての花がそうであったなら
と思うことがある。
さまざまな視点から同時に眺めるこの数式の花は
もちろん
場所場所によって
さまざまな表情を見せるのだ。
わたしの顔が
さまざまな角度から見ると
さまざまに異なって見えるものであるように。
*
[次のページ]
戻る 編 削 Point(13)