数式の庭。原型その1/田中宏輔
の外から
わたしのほうに顔を向けたわたしがいた。
と思っていると
わたしは窓の外にいて
教室にいるわたしを見つめていた。
教室でわたしを見ているわたしがいた。
ふと
校門の
教員のだれかの車が駐車してあるところを見ると
その車のそばに立ってわたしたちふたりのわたしを
交互に見ているわたしが立っていた。
そのわたしには
わたしは意識を移せなかったが
授業中であることを思い出して教室にいるわたしを見ると
わたしは教室に戻っていて
窓の外にいるわたしから視線をはずして
授業を再開した。
もちろん
これらの時間に要した
感覚的な時
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