数式の庭。原型その1/田中宏輔
 
わたしに
 身体はあったかしら
 どうかしら
 わたしには、わからない。)


*


我を忘れて
わたしが、わたしについて
いっさい意識しないとき
わたしの視界に、わたしの身体の
いかなる部分も存在せず
わたしの存在を知らしめす
どのようなしるしもなく
ただ対象とする
数式や図形や語群の形成する世界があって
その世界とは
ただ、わたしのなかに、
わたしとそれらのあいだにだけ形成されたもので
その世界に
わたしとそれらの数式や図形や語群が存在する。
その存在の仕方をさらに精緻に分析する。
わたしのなかに
それら
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