数式の庭。原型その1/田中宏輔
も
部分的に、わたしは、言葉なのだろうか。
部分的に、わたしは、図形なのだろうか。
部分的に、わたしは、数式なのだろうか。
いつまでも暮れることのない
数式の庭のなかの、この花壇のなかで
わたしは、数と記号のあいだにたたずみながら
こんなことを考えていた。
疲れたので
傍らの等号にもたれたら
等号が動いて
わたしの身体がよろめいてしまった。
もしも、だれかが
わたしの数式の庭で
片肘をかけて
斜めに身体をかたむけた
わたしの姿を目にしたら
≠
に見えるかもしれない
などと
ふと思った。
(はたして
わた
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