数式の庭。原型その1/田中宏輔
 
いるときにも
ときおり
そういった状態になることがある。
「みんな、きみのことが好きだった。」という詩集の
はじめのほうに収めた20作近くあるものの多くのものが
そういった状態において、つくり出されたものであった。
意識を集中して作品をつくっていると
あっという間に時間が経ってしまっていたのだった。
図形の話に戻ろう。
忘我のときのわたしは
直線として図形のなかで延長したり
角をいくつかに等分割したりしているのだが
いま
数式のなかにいて
自分が
いったいなにか
わからずにいるのだけれど
それは
わたしが文章を書いているときに
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