数式の庭。原型その1/田中宏輔
 
壇のなかを
ひとり
へめぐりはじめることにしたのだった。


*


問題を検討しているときに
自分が直線となって考える
直線として考えていたりしているときには
忘我の状態であり
時間がものすごく長いあいだ経っていても
自分のなかでは
あっという間のことであったりするのだが
まあ
時間感覚がまったくといいほど
ほとんどなくなっているというわけだが
これは、たいへんおもしろいことである。
忘我
つまり
わたしという意識がなくなると
時間感覚もなくなってしまうということである。
文章を書いているとき
作品を書いている
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