数式の庭。原型その1/田中宏輔
あいだ、途方に暮れていた。
そういえば
わたしは
自分が図形のなかで直線になって考えているとき
わたし自体の意識はまったくなくなっており
わたしがわたしであるという意識のことであるが
それがまったくなくなっていて
いわゆる、忘我の状態にあって
ふと、われにかえると
経っていたであろうと
後付けの思いだが
感じていた時間の何倍もの時間が経過していたのであるが
いま、この数式の花の傍らにいて
どのような時間の進み方をしているのか
見当もつかなかった。
とりあえず
わたしは
数と記号が組み合わさった
数式の花が咲き乱れる
花壇の
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