数式の庭。原型その1/田中宏輔
 
り存在しないのだけれど
しっかりとした実在感をもって
あたかも存在するかのごとき印象を持たせる
補助線の
直線や線分になって
わたしが取り組んでいる、当の
その図形のなかに入り込んで
考えていることがあるのだが
つまり
自分自身が
直線になったり
線分になったりして考えているわけであるが
その経験と比較して考えるに
これは
自分が、数式のなかに入り込んでしまったのかと考えたのである。
しかし
わたしは
巨大な数や記号をまえにして
いったい、わたし自身は、数なのか、それとも、記号なのか
にわかには、わからず
しばらくのあい
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