数式の庭。原型その1/田中宏輔
 
きさになっていた。
数や記号のほうが
わたしと同じくらいの大きさになっていたという可能性も
一瞬かすめたのだけれど
目に入る限りの風景からその可能性がきわめて低いことが
瞬時にわかった。
さいしょの1秒未満の時間では
と、わたしは推測するのであるが
わたしは、自分がどこにいるのかわからなかったのであるが
見慣れぬ光景ながらも
とてもよく見知っているような気がして
すぐにそこが
自分がいつも見下ろしている
花壇のひと隅であることに気がついたのである。
幾何の問題を考えているときに
しばしば
自分が、まだ、かき込まれていない
つまり存
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