数式の庭。原型その1/田中宏輔
ん
通常空間にあって
なにものもさえぎるものもなく
屈折させるような媒体もない場合の話だが。
*
一夜をおいて
考えていたのだが
欲を出したというのか
さまざまな間違いをしてしまったらしい。
ぼくの外にあって
けっしてぼくとはならないもの
けっしてぼくとはつながらないもの
それはまた
時間ではないもの
場所でもない
出来事でもない
そういったものは
ぼくの数式にも
ぼくの思考にも
いっさいの影響を与えてはならないのだった。
そういったものを
ぼくは存在していると確信しなければならなかったのだ。
きの
[次のページ]
戻る 編 削 Point(13)