数式の庭。原型その1/田中宏輔
 
正しいか正しくないかは
わたしにはどうでもよいことであった。
ただ
それが、いったいどのような意味を
わたしにもたらせるのか
わたしにとって
それがどのような意味を持つものか
それだけが重要な気がするのであった。
それが存在するのだと
直感的に感じ取っているのだとしたら
その存在は感じ取れるものなのだということになる。
したがって
直感的に感じ取れるものであってはならないのだ。
さいわいなことに
直感的に
それが存在することを感じ取ったのではなかった。
なぜなら
それは
けっして感じ取れるものであってはならないからである。
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