数式の庭。原型その1/田中宏輔
 

たとえ直感でも。
直感を
ふつうの感覚と同じように捉えることはできないが
わたしに厳しいわたしは
直感であっても
それを感じ取ってはならないものだと思っている。
においがすることで
あらためて呼吸していることに気がつくことがあるけれど
あらためて空気が存在していることに気づかされることがあるけれど
その存在は、そういったものであってもならないのだ。
絶対的に感じ取れないものの存在の確信を
わたしはしなければならない。
錯誤だろうか。
錯誤であったとして
なんとすばらしい錯誤であろうか。
なんとうつくしい過ちであることだろうか。

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