数式の庭。原型その1/田中宏輔
けっして式そのもののなかに数や記号として入ってくるわけではなくて
わたしのなかにやってきた痕跡さえも残さず
わたしのなかから立ち去ってしまうもの。
いや、それは
つねに、わたしの外にあって
それと同時に
わたしの内部に侵入し
わたしを
それまでのわたしとは異なるわたしにするもの。
これをロゴスと呼んでもよいと
あるいは
神と呼んでよいと
以前のわたしは思っていたのだった。
*
文章において
あるいは
詩において
後者のほうが顕著であろう。
すべての余白が
まったく異なる意味を持っている。
わたしの外か
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