数式の庭。原型その1/田中宏輔
 
をいじっていないあなたはあなたではなく
あなたにいじられていないわたしは数式ではないということなのだろう。
やがて、わたしは、わたしを自ら変形し展開するようになり
あなたも、あなた自らを変形し展開していくようになったのだけれども
つねに、わたしの一部はあなたであったし
あなたの一部は、わたしであった。
わたしの変化と、あなたの変化は連動していた。
わたしとあなたは、とても似てきたのだ。
わたしとそっくりなあなたがいる。
あなたとそっくりなわたしがいるのだ。
いつの日か、わたしがあなたであり
あなたがわたしであるようになる日がくるのだろうか。


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