数式の庭。原型その1/田中宏輔
 
と思ったのだけれど
じっさいに書いてみると、終えられなくなってしまった。
最後に書く言葉として適切であったのかどうか
わからなくなってしまったからである。
わたしは嘆いていたのか。
いや、嘆いていたのではない、という気持ちがわき起こったからである。
わたしは喜びをもって書きつづっていたのだから。
そうか。
そうだった。
喜びは悲しみをともなうのだった。
ならば、喜びは嘆きをもともなって当然である。
なにものもすべて孤独であるからこそ、結びつこうとするように
そうであるものは、そうでないものに結びつこうとし
ある状態のものは、その状態とは違った状態
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