数式の庭。原型その1/田中宏輔
 
しみが喜びと結びつくということであろう。
そうだ。
数式の花に見とれているとき
その美しさに喜びを感じているわたしは
わたしのこころのどこかで、なぜか悲しんでいるような気がしているのだった。
「日が照れば影ができる。」
「光のあるところ、影がある。」
これらはゲーテやシェイクスピアの言葉であったろうか。
しかりとうなずかされる言葉である。
「一本の髪の毛さえも影をもつ。」
これは、ラブレーだったろうか。
ソロモンの「草の花」のたとえも思い出された。
生きている限り、どのように小さなことどもにも
わたしにかかわったものは、できうる限りこころにとどめ
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