数式の庭。原型その1/田中宏輔
存在するものすべてが孤独なものであるということである。
どのような時間も場所も出来事も、孤独なものであるということである。
わたしたちの生の瞬間は、わたしたちがふと足をとめた場所は
わたしたちが偶然遭遇した出来事は
なんという孤独さをまとっているのだろうか。
しかし、わたしのなかにあるなにかが
いや、わたしのなかにあると同時に、わたしの外にもあるなにかの力が
それら孤独な時間や場所や出来事を結びつけようとしていることは
直感的にわかる。
直感的に感じとれる。
たとえば、空に浮かんだ雲を、
道にできた水たまりが嬉々として映しとっていることを
わたしの
[次のページ]
戻る 編 削 Point(13)