数式の庭。原型その1/田中宏輔
 
れば
これは
内的沈黙ではない。
内的無声というものであろうか。
いや、違った。
内的無音とでもいうものであろうか。
それとも
ただの無音なのか。
わたしが注視しなければ
音は存在しなかったのだろうか。
それならば
沈黙である。
しかし
わたしが存在しなくとも
湖面で光は蒸発したであろうし
やはり
沈黙ではなく
内的無音であったのだろう。
数式の庭では・・・
そうだ。
まだわからないのだった。
数式の花が
わたしのいないときに
変形し展開することがあるのかどうか
日をまたいで眺めたときに
時間をおい
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