数式の庭。原型その1/田中宏輔
 
おいて見たときに
数式の花の形が異なることに気づくことは
しばしばあったのだけれど
それは
わたしのほうが見方が変わって
解釈が異なるために違って見えた可能性があるので
わたしがいないときにも
数式の花が変形したり展開したりしているとは
断定できないのだった。
わたしの記憶の不確かなことをも配慮して考えると
けっして断定することなどできないのだった。
確実に
変形し展開しているといえることもあったのだが
あらためて考えてみると
そう断定する自信がなくなるのであった。
もちろん
注視しているときにも
数式の花は
沈黙することはあ
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