数式の庭。─前篇─/田中宏輔
と、その存在の一部を与え合い受け取り合うもの
それがわたしのなかに流れ込んでくることがわかる。
その力は、あなたをも変形し、展開し
わたしとあなたを結びつけ
「数式」の意味を変え
「あなた」の意味を変え
「数式でもあり、あなたでもあるもの」をつくりだす。
「数式でもなく、あなたでもないもの」をつくりだす。
わたしを違う相に移し
わたしの構造を変える。
あなたを違う相に移し
あなたの構造を変える。
やがて、流れはとまり
わたしたちの結ぼれはほどけ
わたしは、もとの数式の花に立ち戻り
あなたも、もとのあなたに立ち戻る。
けっして同じ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(16)