影か揚羽か/ただのみきや
 
々のこころに深々と突き刺さった若者が
なぜ自分ではなかったのか そんな青春の燃えかすを互いにまき散らし
咲くわけのない花の幻を追いかけていた
彼らが欲したのはある種の合理性であって科学的根拠などではなく
古代人が神話を作り上げたように 想い通りにならない
時に恐ろしい不条理を突き付けるこの世界とどう折り合いをつけるか
上手にあきらめて受容するための積極的言い訳のようなものだった
実際 齢を重ねた彼らは「偶然」と「運命」が同じもので
ひとつの出来事を個人がどう捉えるかに過ぎないこと 
こころの落としどころの違いでしかないこともわかっていた
だが中には「神の摂理」「神の裁き」と説明
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