その腹にはいったいどんな言葉が記されているのだろう/ホロウ・シカエルボク
なのかもしれない、そのころにはそう思い始めていた、焦りを感じ始めたけれど、駆け出したりするのは止めにした、いまのところはただの迷子だ、いい歳をして必死になって見知らぬ場所から脱出しようとするなんて、あまりにも馬鹿げてる、見知らぬ住宅地を黙って歩いていると、幼いころの記憶が蘇った、ろくな思い出じゃなかった、ものの価値など分かっていなかった、下らないことばかりしていた、思い出したくもないことばかりだ、むかむかしながら歩いているとなんだか見覚えのある景色になった、なんてことはない、最初にやって来た公園のところに戻って来てしまったのだ、そうだ、俺はここで飛行船の欠片を燃やした、それがすべての始まりだったの
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