瑠璃色の鱗/
 
人魚の住む海底に
一枚の絵が落ちて来ました
それは人魚のいる瑠璃色の海と空
絵は溶けかけていましたが
人魚の心を打ちその絵を宝のように思いました

ある日人魚が海から顔を出すと
岸辺で絵を描いている青年がいました
きっとあの絵を描いた人間に違いない
人魚はそう思うと自分の大切なものを
青年にあげたいと思いました

人魚は瑠璃色の鱗をしていました
その鱗を一枚ずつ剥がしては
岸辺に届くよう波に乗せました
そして青年が鱗を拾うのを見届けると
胸の辺りがキュッとして
鼓動が大きくなるのを感じました

青年は毎日海にやって来たので
人魚は毎日鱗を剥がして青年に贈りま
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