レコードの溝の数/ホロウ・シカエルボク
めているものに忠実であればそれでいい、歳を取れば少しは落ち着くのかと思っていた、でもそんなことはないね、見えて来るぶんだけ余計に求めてしまう、御託を並べる暇もないくらい書き続けて来たからね、水の流れは増した、あとは流れ続けるだけさ、何を目指しているのかは知らない、そんなことは重要なことじゃない、ただただ欲望に従っていればいい、そうすればある時求めているものがはっきりと形を持って話し始めるだろう、いつかはそんな日が来るだろう、そんな日のことを語ることは出来ないかもしれないけれど、必ず一度はそうしてはっきり見える日が来るだろう、俺はそれを半ば確信している、だからいつだってこうして新しい一行を紡ぎ続けて
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