Life In The Fast Lane/ちぇりこ。
今は廃校になってしまった小学校のグラウンドに
ぼくら男子児童は立たされていた
50m走のタイムを計るのだと
体育の大森先生は号砲のピストルを
真夏の空へ向けて構えていた
過疎化の進んだ小学校の児童は
年々減少の一途をたどっており
ぼくらクラスの男子児童は全員横一列
スタートラインに立たされていた
ぼくらの目の前には石灰の白いラインが
逃げ水の揺れる校庭を突き抜けて
夏草の生い茂る河川敷の土手を通り抜け
閉じたシャッターだらけの商店街を飛び越えて
赤錆を喰ってしまった単線の路線沿いに並行して
どこまでも どこまでも どこまでも
先は見えないゴールを目指して
(夏の始ま
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