沈没船の内訳は君のように俺のように/ホロウ・シカエルボク
けどね、でもひとつだけはっきりと言えることがある、俺がジャズを好きになったのは、コルトレーンの「コートにすみれを」を仕事帰りの車のラジオで耳にした瞬間だったよ、そう、もしも彼がプレイヤーじゃなくて詩人だったなら、きっと俺のような詩を書くと思うよ、いや、これはジョークじゃない、マジな話さ…あいつは自分自身の単純や正直について深く理解していたのさ、それもきっと本能でね、その点、音楽っていうのはもしかしたら、文章よりもずっと感覚的なものなのだろうね、言葉をこねくり回す必要が無いのだもの、そりゃ当り前だよね、もしも俺が映画を撮ったら、下手なゴダールみたいなものになるはずさ、だってあいつは「悪魔を憐れむ歌」
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