白く漂う/木立 悟
時計 重なり
燃える 時計
開いては閉じる
空の草の目
声と空蝉
途切れ途切れに廻る世界
光っている
触れるものすべてが光っている
夜を動かそうとするものが
凍りついては坂をころがる
金と緑のかたちのいくつか
記憶の右側を昇りゆく
密は白花
点の紫
隔たりは幻
積もらずの冬
晴れには晴れの降る音がして
曇りには曇が降りつづく
外れたボタンの回転は止まず
間違えた拍手の音も止まない
息を吹きかけ
空の蜘蛛の巣を揺らす
ほんの少しの空白の後
雪は地の水に落ちてくる
此処に居ないはずの北の
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