白く漂う/
木立 悟
北の鳥が居て
誰も居ないのに求愛の踊りをする
まるで目の前の景すべてに
求愛するかのように
人が鳥なら鳥を見ない
鳥が人なら人を見ない
人も鳥も空を見ない
人も鳥も 到かぬ火を見る
花の影が虫になり
花に登り 花に隠れる
花は散り 虫は去り
茎の影が地に咲きひらく
夜の淵を流れる月
宙に浮かぶ硝子に降る雪
発光し 発光し
消えてゆく
水たまりから水たまりへの
魂の径を歩む
月が昇りきる前の
白く漂う径をゆく
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