感光/残滓/ただのみきや
がふれた
残りのひとりはわたしが喰った}
──娘はひとりしかいなかった
好いた相手をあきらめて
十六で嫁いだあの娘は
ひとりのわたしは川へ身投げした
ひとりのわたしは気がふれたまま今も故郷の野山をさ迷っている
わたしは生きるため鬼になり
わずかに残った娘ごころを喰らってしまった
あなたのこころの破線を裂いて
娘の面影を訪ね歩く
捻じれた箱の中
霧深い森の奥深く
鏡の沼に足を浸し
指先と口を藍く染めた
娘はあのころのまま
着物の裾を陰部が見えるほどたくし上げ
罌粟のように笑っていた
近づこうとするわたしと娘の間に
ペニスの幽霊
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