初秋/山人
トリーの警告音だったするのであろう。四六時中羽根をすり合わせたりしているのである。当然それはプランがあるわけでもなく、長い年月の中で自然と行われてきた遺伝でしかない。もちろん、繁殖したいという願望があるわけでもないのであろう、彼らを生存させ、繁殖することを命ずる神のようなものがきっとあるのだと思う。と考えれば合点がゆく。
つまりは、あらゆることに多かれ少なかれ意味があるとするならば、この自分という些細な生きざまですらも何かの役に立ってきたのだという考えも浮かんでくる。
およそ十一年前、私は命を失う一歩手前で救出され今に至っている。山村の誰も通行するはずもない場所で、偶然犬の散歩をしていた隣
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