ピエロのナイフ/ホロウ・シカエルボク
狂気は俺を生かしている、そのことが長いことわからなかったんだ、俺はひとりしか居ない、なにがまともで、なにが狂っているかなんてそこではどうだっていいことだ、比較対象が必要な話じゃない、そいつをどう受け止めるか、それは大事なことだぜ、ひとつ間違えれば周囲に迎合して生きるだけの馬鹿になっちまう、貰った尺度は捨てることだ、自分が生きていくためになにが必要なのか、自分で見極めて選択することがなにより大事なのさ、俺は混沌を捨てたくないものがなにかを書いたり、歌や芝居で声を張り上げたり、沢山の色を使って絵を描くのだと思う、そしてそういうものこそが本当に、窮屈な真実に支配されている人間たちの心を動かすのだと思う、
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)