ピエロのナイフ/ホロウ・シカエルボク
 
だ、詩を綴る瞬間のすべてを残しておきたい、俺はそう望みながら詩を書いている、気温の高さも、外界の喧騒もいつの間にか気にならなくなっている、そうさ、俺は混沌でありたい、自己の混沌を、詩を書き綴ることによって育て続けたいんだ、一流家具店のインテリアみたいな言葉なんか並べたくないのさ、それは習えば誰にだって出来ることだから、俺は混沌を育て続けている、混沌とか、自己矛盾とか、そういうものをさ、後生大事に育て続けてきたんだよ、始め俺はそこから逃れようとしていたんだ、でもそんな行為にはどこか違和感が付き纏った、なぜクリアーに整理されなければならないのか?俺はその奇妙な義務感に民衆という嘘を感じたのさ、俺の狂気
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