天地天地天地/木立 悟
 




一本の指がしっかりと
屋根のすべてを締め付ける
風のものではない揺れが
屋根から屋根へと歩き去る


雪のかけらが息にからみつき
寒く苦しく
苦しく寒く
径の行方に降りつもる


空と大砲 曇と歌声
乞食に降る雨
蟻の重さの暗がりが
地を覆う 地を覆う


氷の川が軋み流れる
機械の洞窟を満たし傷つけ
奥から奥へ 奥から空へ
鳥のかたちの宙宇まで


手の甲を下に
手のひらを開ききらぬまま膝の上に置き
降りつづける空をすべて得ようとせずに
ただこぼれるまま 受けるままを見つめる


径にしか居場所のない僧は何処へゆくのか
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