しろく永い思い出/唐草フウ
この白い画面から
各々の人たちが夏の思い出に何色が入ってるかを見ている
あたりまえに過ごすこと 羨望で願望しかなかったこと
夏の思い出はすきじゃない
病棟へ出入りするぶ厚い自動ドアが、こどもであるわたしを吐き出す。
ひとりで緊張と退屈に向かう時間
ゲームもない時代。お金も持ってない、ポシェットにはポケットティッシュとおまもりの飴だけ、無防備な幼い体で待つ。あやとりしたり、椅子の上をゴロゴロする。
病院にはカベがあることを知る。
(きらい)
何十枚ものつらいメモ
とっておけばよかったかな
でもいつも「ごめんね」だったから言えなかった「さみしい」
海に囲まれてる
[次のページ]
戻る 編 削 Point(12)