しろく永い思い出/唐草フウ
 
てるのに海で泳ぐこともなく
花火はどこかで上がっていても夜空を見上げたことも記憶にない
お祭りの楽しさも、割った西瓜がおいしいものなのか、おとなになってもわからない
一緒に楽しむ人がいて、思い出ははじめて色づく

夏は白い部屋が続いて、ドアも白く、ずっと白い。
のーとも、てがみも、メモも、思い出も。
大量の鼻血がティッシュ箱を消費して それが固まり時間が経てば黒くなった。

いつもいつも、帰りを待っている
もうないと分かってても
白い箱の中でひとり、いつまでも待っている
そして夏の白い真夜中には、どこまでも湿らせながらそれがまとわってくる









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