第49回城戸賞二次選考通過作品シナリオ【銀木犀の樹の上で】改編稿?/平瀬たかのり
 
で押通し
 ます』」
   教平、涙を拭う。
美花「それだとあたし直ぐわかっ
 ていいねえ。じゃあ、お行き、
 左様なら』」
教平「『はい。左様なら姐さん』」
美花「『出世を待ってるよ』」
教平「『はいッ』」
   ステップに足を掛け、バ
   スに乗り込む教平。そこ
   で向き直る。美花に頭を
   深く下げる。その様をじっ
   と見ている美花も涙ぐん
   でいる。
美花「『――あれ、まだこっち向
 いてお辞儀してる。そんなに嬉
 しかったのかねえ。駒形――』」
   発車ブザーが鳴る。意を決
   するように美花に背を向け
   る教平。


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