第49回城戸賞二次選考通過作品シナリオ【銀木犀の樹の上で】改編稿?/平瀬たかのり
いやあ大丈夫です、わし
は、石に咬りついても横綱に出
世しなけりゃ』」
二人『一本刀土俵入』の台
詞を交わし始める。
美花「『その料簡でみッちりおや
り。名は何ていうのだい』」
教平「『わしは、駒形と名を付け
て貰っています。駒形というの
は故郷の名だ。名は駒形茂兵
衛といいます』」
美花「『駒形茂兵衛だね』」
教平「『あい。姐さん、わし
出世して三段目になっても、
二段目になっても、幕へはい
ろうが、三役になろうが、横
綱を張るまでは……」
教平の目から涙が零れる。
教平「『いかな、いかなことが
あっても駒形茂兵衛で押
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