第49回城戸賞二次選考通過作品シナリオ【銀木犀の樹の上で】改編稿?/平瀬たかのり
蹲踞の姿勢で手刀を切り、
花代の十万を手にする。
土俵を降り、教平の前に
立つ直人。
直人「高野のおかげや。声、聞
こえてたで」
教平、泣いている。
直人「なんでおまえが泣いとる
んや」
教平「そやかて、そやかて……」
蘭子「教平ちゃん、ほら!」
頷く教平。直人を肩車する。
直人「高野、こら、おまえ」
そのまま土俵に上がる教平。
直人を肩車したまま土俵を
周る。
直人「やめろ、やめんかいや」
泣きながら土俵を周り続
ける教平。
直人「やめろ、おい。やめろっ
て高野……」
やが
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