帰宅/霜天
 
帰ろう
と何時でも君は言うので
何処へ、とは聞かない
ヘッドライトが線になるまで
ただ通り過ぎるように

覗くことをしない
触れるなら静かに
斜めになった窓から
射し込んでくる光が
運ばれてきたものを教えてくれる
眠るにはまだ
少しだけ早い頃


とりあえずで目を閉じると
その内側は金色に光っている
動き続ける波紋は
何処でも、何処までも
落ちていけないのをそのせいにして

いつの間にか馴染んでしまっている
ビルの隙間でビルのふりをしていたり
区切られた空に星を探したり
横断歩道の間隔から少しだけずれてみたり
僕らは、ここに、するりと潜り込んで

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