The Show Must Go On。/田中宏輔
 
らゆる人間に、わたしを理解しないでもらいたいと、ひそかに思っている。


 われわれが時間や空間を所有しているのではなく、時間や空間がわれわれを所有しているのである。


 わたしが過去を思い出すとき、わたしが過去を引き寄せるのか、それとも過去がわたしを引き寄せるのか。


 詩人は自分をその場所に置いて、自分自身を眺めた。まるで物でも眺めるように。


 ぼくたちが認め合うことができるのは、お互いの傷口だけだ。何か普通と異なっているところ、しかもどこかに隠したがっているような様子が見えるもの、そんなものにしか、僕たちの目は惹かれない。それぐらい、僕たちは疲弊しているのだ。
[次のページ]
戻る   Point(8)