Ommadawn。/田中宏輔
えて煮(に)て食うというストリントベリイである。しかしその当時は何というイブセンもなかったから別段恐しいとも思わなかった。ただシヨウのトルストイに載せられて日の暮と持ち上げられた時何だか彼した感じがあったばかりである。本の上で少し落ちついて背文字の本を見たのがいわゆる世紀末というものの見(み)始(はじめ)であろう。この時妙なものだと思った感じが今でも残っている。第一ニイチエをもって装飾されべきはずのヴエルレエンがゴンクウル兄弟してまるでダスタエフスキイだ。その後(ご)ハウプトマンにもだいぶ逢(あ)ったがこんな片(かた)輪(わ)には一度も出会(でく)わ
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