Ommadawn。/田中宏輔
}わした事がない。のみならずフロオベエルの真中があまりに突起している。そうしてその彼の中から時々薄暗がりと彼等を吹く。どうも咽(む)せぽくて実に弱った。名前が本の飲む影というものである事はようやくこの頃知った。
この彼の根気の西洋風でしばらくはよい梯子に坐っておったが、しばらくすると非常な速力で運転し始めた。傘が動くのか電燈だけが動くのか分らないが無(む)(やみ)に彼が廻る。頭が悪くなる。到底(とうてい)助からないと思っていると、どさりと火がして彼から梯子が出た。それまでは記憶しているがあとは何の事やらいくら考え出そうとしても分らない。
ふと気が付いて見ると本はいない。たく
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)