詩小説『雨の日の猫は眠りたい』その3。+あとがき/たま
 
追い続けることができるのだ。もし、その塵みがなくなったら、わたしはやさしく老いることもなく塵みてしまうだろう。
 困る。それだけは困るのだ。
 なにひとつ拾う塵みのない老後なんて考えられないのだ。だって、塵みがなかったらわたしは詩が書けないのだから。最期の晩餐はローストビーフと決めているが、その晩餐の日まで、わたしはオニヒトデのような年金詩人でいたい。キモチワルイといわれてもかまわない。それがわたしなのだから。
 もういちどいう。
 嘘みたいにきれいだ。
 三月のビーチにはなにひとつ拾う塵みはない。拾うものがなければ捨てろと海はいうのだろうか。なにもかも捨てて散文の海へ帰れというのだろう
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