詩小説『雨の日の猫は眠りたい』その3。+あとがき/たま
べる。私には遅い朝食になるけれど、たぶん、母も朝食はとっていないはずだった。今朝の母はすこし痩せたのかなって気がする。厚切りのトースト三枚を一枚半ずつに分けて、卵二つ落としたハムエッグと、夕べの残りもののジャガイモサラダに、コンソメスープと、母の好きなミルクティー。コンソメスープにはりんごが入っている。テーブルのりんごをスライスしてレンジで焼いたものだ。
「圭子、パンは一枚でいいのに。卵だってさ、二つもいらないわよ。あたしはひとつでいいのよ」
「だめ。お昼ごはんなんだから、たくさん食べなきゃ、まだ十一時よ。お腹空くわよ」
窓の外が明るくなって雨は止んだみたいだ。
午後は晴れそうな気がした。
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