詩小説『雨の日の猫は眠りたい』その2。/たま
ミ袋を両手に提げて、砂漠のような砂浜をあるく上田さんのすがたはとても見ていられない。
ぼく、運ぶからそこへ置いといて……。
「あれ、ほんまかいな。助かるわあ。」
上田さんと中川さんが詰め込んだゴミ袋を運ぶのがわたしのしごとになった。トイレ掃除の長靴を履いたまま砂浜をあるくのはきつい。上田さんたちは運動靴だったけれど、靴下の底まで砂まみれになるのがいやでわたしは長靴を履いた。午后の作業でわたしが運ぶゴミ袋は二十ほどになった。
「ねえ、あんた。来年も来てや。」
上田さんが笑っていう。
うん、わかった。
わたしは素直に応えたが上田さんはどうなんだろう。上田さんは来年もだいじょうぶ
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