詩小説『雨の日の猫は眠りたい』その2。/たま
 
集めてちいさな山をいくつもつくる。
「ゴミや思うても、お客さんが置いてあるだけのもんもあるから、気いつけてや。」
 飲みかけのペットボトルや、散らかった子供のおもちゃなど、ビーチでのゴミ拾いは意外と難しい。
「ややこしいゴミはそのままにしとき。」
 あ、はい……。
 そんな作業が四十分あまりあって、ひと休みしたあと、塵みの山をゴミ袋に詰め込むことになる。道具はない。ゴム手袋や軍手をしての手作業だった。そのゴミ袋を遊歩道沿いに点々と置かれた金網のまるいゴミ箱の傍らまで運ぶのだが、波打ち際から遊歩道まで、近いところでも、わたしの足で八十歩あまりあるくことになる。砂も混じってずしりと重いゴミ袋
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