詩小説『雨の日の猫は眠りたい』その2。/たま
 
ラゴミや藻屑は半ば砂に埋もれ、波打ち際に波紋を残したまま堆積した塵みは、わたしの手を逃れ砂に潜り込もうとしている。長い柄のついた熊手を持つ手はまるで潮干狩りみたいで重い。藻屑は臭くて小蠅がたかる。腕も足も重くてだるい。海水浴場は遊ぶための場所あって、はたらく場所ではないような気がする。
 しかもシルバーだ。わたしはまだ若いとしても、上田さんと中川さんの年齢でできるしごととはおもえないのだ。上田さんたちはトイレ掃除だけでいいのにとおもう。
「ゴミなかったら、金儲けできへんで。」
 たしかにそうだけど……。
 海水浴客の邪魔にならないよう気遣いながら、ビーチに打ち上げられた塵みを熊手でかき集め
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