詩小説『雨の日の猫は眠りたい』その2。/たま
 
保管されていて、夏本番を迎えたビーチに商売道具を運び出すために、いそがしく出入りしているのだった。
 わたしにはガラクタの山にしか見えなかった商売道具だが、彼らにとっては、というか、海で溺れる者にとっては、なくてはならない救命用具なのだった。そのメインになる用具がふたつある。セーバーが肩にかけて救助に向かう、ライフガードチューブと呼ばれる浮き輪と、救助した者を乗せてビーチまで運ぶレスキューボードだ。コンクリートの床にそのふたつだけはていねいに積み上げられていたが、その他の用具は雑に置かれている。キャンプ用品の折りたたみ式のテーブルや椅子や、彼らが宿舎で使う冷蔵庫やレンジまであった。軽トラック一台
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